2018.01.31

2018.01.31
――『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、非常に日常芝居が多い作品です。
石井 そうですね。それだけに原画枚数が積み上がっていかないと、自然な動きに見えなくて、そこが原画さんも苦労していたところでした。演出チェックでも「もっとこういう動きをさせてほしい」と、さらに演技が追加になる注文が出ることもありました。“椅子に座る”“荷物を持つ”といったお芝居は、普段から目にしているだけに、ちゃんとできていないと違和感が生まれてしまうんですよね。あと劇場作品ということで気負っているところもありました。
――岡田監督とはいつが初対面でしたか。
石井 『花咲くいろは』のロケハンの時に顔合わせをしたのが最初だと思います。ただ、それ以降、姿はお見かけしてもあまり長くお話しする状況ではなかったり、別作品のロケハンで数日ご一緒できたぐらいで。今回、一緒の現場で仕事をしてみたら、力を感じる脚本の雰囲気とはまた別の顔も持っている方なんだなと思いました。大人の中の少女らしさとかそういう部分があるんです。たとえば仕事の合間に岡田監督が私の似顔絵を描いてくれたことがあったんですよ(笑)。その似顔絵は机の脇に貼りました。ちょっとイライラした時は、その似顔絵を見て「笑顔、笑顔」と思いながら作業をしました。
――作業の中では岡田監督とどんなやりとりをしましたか。
石井 総作画監督は、まずキャラクターの表情に責任を持たなくてはならないポジションです。そんな中、岡田監督からは結構ストライクゾーンの狭い表情を求められることが多かったです。たとえば「顔はそれほど怒っていないけれど、胸の中ではいろんな感情が渦巻いている表情」みたいなものですね。そういう繊細な感情表現は岡田監督のこだわっているところのひとつだと思いました。岡田監督の席が近かったので、私も自分で描いていてわからないことがあったら、すぐ岡田監督に尋ねて、その上で表情を掴んでいくようにしました。
――マキアというキャラクターについてはどう思いましたか。
石井 脚本を最初に呼んだ時は感動はしました。ただその時にマキアという子を掴めていたかというと決してそういうことはなかったですね。これまでの仕事の中ではキャラクターの個性をある程度カテゴリーにわけて、それをベースに表情をつけたりしていましたが、マキアというキャラクターはそれをすると違っちゃうなということは思いました。一方で、それは自分がマキアの気持ちになるっていうこととはちょっと違っているんです。自分としてはマキアと一緒に歩かせてもらって、「今はどんな顔をしているんだろう」って表情を覗かせてもらうような、マキアとはそんな距離感でその表情を描いていきました。映画からいろんなキャラクターの感情を感じ取ってもらえたらうれしいです。
いしい・ゆりこ/主な参加作品に『花咲くいろは』(メインアニメーター)、『Another』、『凪のあすから』、『クロムクロ』(いずれもキャラクターデザイン・総作画監督)などがある。
2018.01.29
全国縦断試写会、1月25・26日。
宮城県は仙台、そして北海道は札幌にお邪魔しました。
どちらも当日は、雪、雪、雪。風も強くて、皆さんは大丈夫だろうか……
お会いしたいのはやまやまだけれど、無理はしないでいただきたいな……
と不安になりながら迎えた本番ですが、結果として多くの方に集まっていただきました。
仙台の皆さんは、すごくニコニコ話を聞いてくださいました。
この素敵な笑顔を、スタッフの皆にも見せたい……!
札幌での試写会は、スクリーンも大きく客席も広くて。
緊張のあまり何度か頭が真っ白になってしまいましたが、
皆さんグダグダな話にも暖かく耳を傾けてくださいました。
仙台と札幌の皆さん、本当にありがとうございました。帰り道は大丈夫でしたか?

上映が終わったらもらえないかな……。
そして。宮城と北海道と言えば、やはり美味しい食べ物。
仙台では牛タンをいただきました。怒涛の旨味が押し寄せてくる……さすがは本場!
堀川さんはつけあわせの味噌をいたく気にいって、空港で購入していました。
北海道では……私、ラーメンが大好物でして。
千歳空港で何か妙なスイッチが入ってしまい、えびみそラーメン、味噌バターコーンラーメン、
醤油ラーメンのハーフを無事完食しました。
甘いものでは開かない私の別腹は、ラーメンだと景気よく全開放しまくりです。
しばらく体重計には乗らず、現実から目を背けて生きていこうと思います。
2018.01.26
――ついに『さよならの朝に約束の花をかざろう』が完成しました。
篠原 もう試写会が始まっていますが、実はまだ完成品を見てないんですよ。いつ見られるのかな(笑)。
僕は最初、岡田麿里さんが監督するなら、総監督としてTVシリーズをやるのがいいんじゃないかと思っていたのですが、映画だと聞いて慌てました。TVだったら長くても1年半ぐらいで終わると思っていたのが、結果的には最初のミーティングから3年半以上に渡る長期の仕事になりました。岡田監督言うところの「老後の渦中」にある身としては、いささか複雑な思いです(笑)。
――副監督というクレジットですが、どういう立場でしょうか。
篠原 裏方として岡田(麿里)監督を支える役回りです。今回自分がやっていることは、演出的な統括という点をサポートする補佐役です。
――補佐役ですか。
篠原 監督がやりたいこと、イメージしていることを聞き出して、それを具体的に映像に落とし込む作業の現場監督みたいなものでしょうか。なるべく自分の意見を交えずにいくつかの選択肢を提示して、岡田監督にジャッジしてもらうようにしました。僕たちが関わるアニメづくりって、ひとりが全部やってしまうのは非常に稀なケースです。僕自身監督をやっていますが、絵や脚本を書くわけではないし、音響監督ができるわけでもない。それでも監督がやれるのはたくさんのスタッフの尽力があればこそなんです。それでいうと、岡田監督は、まず自分で書いた脚本があり、キャラクターを含めた作品世界のイメージもはっきりしている。だからあとは実務的なところをサポートするスタッフがいさえすれば、堀川憲司プロデューサーが考えた「岡田麿里100%」という作品がおもしろい形で実現できるんじゃないなかと考えました。
――篠原さんから見た脚本家の岡田麿里さんというのはどんな方ですか。
篠原 はじめて岡田監督のシナリオでコンテを描いてからもう12、3年、一緒に仕事をしていますが、いまだに底知れぬ才能を感じる脚本家です。自分はその一端にしか触れていませんが、キャラクターの描写力、発想の面白さ、ストーリーの構成力、一言でハートを鷲掴みにする強いセリフ等々魅力を言い出せばキリがありません。特に構成の絶妙なバランス感覚は、腕の立つモビール職人のようです。モビールってこっちのおもりを外したら、どこか別のところにおもりをつけないと全体のバランスが崩れてしまいますよね。ひとつのストーリーの中でどこにどんな重さの錘をつければ全体が過不足なく成立するのか、その難しいさじ加減をサラリとやってのける印象が強いです。
――公開を待っているファンの方に一言お願いします。
篠原 今回、スタッフの間では「さよ朝」に対する感想が人により随分違っていました。誰の視点に寄り添うか、何を一番大事なものとして見ていくかで大きく姿を変える映画になっているからだと思います。ですから、一度観るだけでなく、二度三度と観て、そのたびに新しい発見を楽しんでいただけたら。そしてその中で、少しでも琴線に触れるものが発見できれば、作り手としてこれ以上の喜びはありません。
しのはら・としや/主な監督作品に『黒執事』、『戦う司書 』、『凪のあすから』などがある。
2018.01.24
トンネルを抜けなくても雪国だった、1月22日・23日。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』の、全国縦断試写会が、いよいよスタートしました。
白く連なる山並みに、黒い瓦屋根がまるで水墨画のような凛々しさ。
乃絵・比呂美・愛子の初恋と、『true tears』の生まれた富山。
華やかな都会でありながら、しっかりと息づく重厚な歴史。
緒花達が伝統を学びつつ未来を夢みた、『花咲くいろは』の金沢……
おや、観光パンフレットを書いているような気分に……。
とにもかくにも。
P.A.WORKSと私にとって特別な場所である、富山と金沢から試写会はスタートしました。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』を、皆さまに見ていただく。
この日のために、スタッフみんなで頑張ってきました。
だからこそ、みんなの気持ちを背負いスタッフ代表として、胸をはってご挨拶せねばなのに……
押し寄せる緊張に、胃がひっくり返りそうになりながら当日を迎えました。
ですが、本番になったら緊張は吹き飛びました!
……すいません、誇張しました。緊張はしましたが、それ以上の喜びが押し寄せてきました。
試写会に参加してくださった方々が、とても優しく迎えてくださったからです。
そして、お寄せいただいた暖かな感想達。
もともとどうかしている傾向にある私なのに、ますますどうかしてしまいそうになりました……!
天候も安定しないなか足をお運びいただき、本当にありがとうございました。
いただいた言葉、一つひとつが宝物です。

ままとずっと、なかよくね。
次は仙台、そして北海道です。
試写会に参加してくださる方は、当日はとても冷えこむとのこと、暖かくしておいでください。
お会いできるのを楽しみにしています。
2018.01.20

ここは、『さよならの朝に約束の花をかざろう』に関わる
フリーのスタッフが集まる部屋で、『マキア部屋』と呼ばれていました。
今は主だった作業がすでに終了しているので、がらんとしています。
ついこの間まで、静かで熱い戦いが繰り広げられていたのが
不思議になるような光景です……。
切ないような、ほっとしたような、やっぱり切ないような。
普段、脚本作業をするときは自宅で仕事をしてきました。
音楽もかけないので、仕事部屋には一人ぶんのキーボードの音だけ。
でも、マキア部屋での日々は違いました。
かりかり鉛筆を走らせる音、ぱらぱら動画用紙をめくる音が辺りに響いて。
私もチェックをする際には、その軽やかな音の一員になって……。
と、ちょっとポエミィに書いてはみましたが。
私の指示書きの文字は、副監督を担当してくださった篠原さんに、
「ここまで字が汚かったとは」と衝撃を与えた代物でして。
……一息ついたら、ペン字でも習おうかな。

チェック物があがった時の、制作の子へのメッセージです。
たわむれに、ちょっと絵を描いたりもします……。
これは、総作画監督の石井さんと私の愛の(?)合作です。
こんな時でも、私の字は汚いです。
2018.01.12
皆さま、こんにちは。岡田麿里です。
今日から、『さよ朝制作ブログ』を担当することになりました。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』が動き出して、早三年。去年の今頃は、富山本社に三日間の強行作打ちに行ってました。PA本社のアニメーターさんとカットごとに打合せをしたのですが、これがなんとも、静かに高まりました……。
PA作品の画集やスタッフロールなどで名前は知っているけれど、ちゃんと話をするのは初めてという方が多かったのです。シャープな絵を描くのに、穏やかでおっとりしてるんだなーとか。こんなに楽しいお嬢さんだったのかーとか。描く絵を先に知っていて、その後にご本人を知るときめき……。
新社屋には初めてお邪魔したんですが、学校のようで素敵でした。お昼には社食をご馳走になって、これも給食みたいで美味しかったです。小学校低学年の頃は、給食が苦手だったのにな。掃除の時間まで、教室の後ろに残される奴でした。なのに、
「どうして、こんなに育ったの!?」
……というセリフが、今回の作品の中にあります。
さりげないシーンですが、めちゃくちゃ動いて作画枚数半端ないです。
こんな感じで、とりとめなく書いていきたいと思います。なにとぞ、よろしくお願いいたします。